『アッティカ赤像式ヒュドリア(水瓶)《アフロディテとファオン》』フィレンツェ国立考古学博物館蔵
- 2008/04/04(金) 11:25:32
同じ展覧会なのでカタログを見てもらえると良い。まぁ見事な水瓶だ。古代ローマは、もう紀元前400年頃には、このようなレベルの高い日用品を作っていたのである。実際、この時代だと、作られたのがローマ領土内なのか、エトルリアなのか、それとも他の国なのか、私の知識では分からないが、後にはローマに吸収されるのだから良いとしよう。
古代の絵画は基本的には線描である。線で描かれた中に色を付けることで、色彩を表現する。だから、言わば漫画の描き方と一緒である。驚くべきは、高貴な人物の品であることは間違いないが、こんな日用に使う道具にさえ、これぐらいの絵が描かれているのだ。日本ではまだ弥生時代のまっ直中だ。そしてこの描き方がルネッサンスに到るまでほとんど変化していない。
変化がない訳ではない。遠近法のような科学的な視点や、輪郭と表面色との取り合いなど少しずつ発展してきた。しかし、それは古代芸術の亜流であって、新しい手法を発見した訳でなかった。だから1000年以上もの間、芸術は滞っていたのだ。言い換えれば、新しい表現への助走期間でもあったのだが。後期には、退廃的とは言われたものの、どうしてこんなに素晴らしい表現力を捨ててしまったのだろう。
蛮族は、どうしてローマの技術や文化を欲しがらなかったのか。キリスト教の精神はどうして受け入れられ、美しいものを捨て去れたのか。ローマの崩壊以降、技術も文化も、東地中海〜イスラム諸国が保存するのだ。こんな素晴らしい水瓶の技術がそのまま発展していたら、現代はどうなっていただろう。そんなことはあり得ないが。
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