『愛の行いの恐怖』ジャン=ルイ・ルモワーヌ

  • 2008/04/18(金) 10:03:38



ロココの作品である。まぁ、ロココというのはなかなか説明しにくいが、ブルボン王朝の末期、ルイ15世期の様式である。特に明解な理論がある訳でもなく、バロックのより優雅な形体と考えていいだろう。特に建築の分野などを見ればその特徴が顕著である。空間的興味はほとんど無く、ただ表面だけを飾った手法は、古典的な建築の終焉を示している。

しかし、ロココ全盛のフランス宮廷のこの作品は、ある意味で完成されている。これほど優雅で洗練された作品はなかなか無いだろう。なぜか中年の女性が好きな彫刻群もこの辺りの作品が多い。しかし、この彫刻の主題は何だろうと考える人はほぼいない。主題の無い作品など無かった時代なのに。

この作品のタイトルはフランス語からの直訳で、どう表現したら良くわからなかった。なぜかは作品を見ればよく分かる。キューピッドから手を差し伸べられ、恥じらいとも官能とも言えない表情を浮かべている女性。緩やかに体をひねらせたその姿態はエロティックである。これは恐れと言う方が正しいのかもしれない。

余りに感情に流されるような行動は慎まれるべきであり、またそれが理想とされた。しかし実際の生活は、その理想とは多少違っていた。愛欲に溺れることの恐れを表現しているのではないだろうか?一方、その生き方は女の理想でもあるのがややこしい。そういう生き方を望んでいる女性も実際には多かったのだ。愛に結論が無く、いつまでたっても主題になるのは現代でも変わらない。

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